こども救急箱

vol.338 プレコンセプションケア

―正しい性知識を―

南日本新聞掲載日付 2025/06/24

プレコンセプションケアは、あまりなじみがない言葉ではないでしょうか。プレが前、コンセプションは妊娠、ケアは支援を意味し、直訳すると「妊娠前支援」です。

妊娠と聞くと女性だけに関係するものと考えがちですが、男女ともに妊娠するしないに関わらず、性や妊娠に関する正しい知識を身に付けて自分の将来の健康を守ることを支援する活動です。2023年の国の成育基本法の基本方針で推進することになりました。

自分の性別を認識するようになる3歳ごろから始めることになります。プライベートゾーン(胸・おしり・性器・口)は体の大切な場所と教えます。自分で守るものと理解してもらい、決して恥ずかしいところと思わせないことが大事です。

この知識が性被害・性加害などの当事者になるのを防ぎ、もしも被害にあいそうな時に大人に相談できることにつながります。

従来の性教育の中でも新しい知識があります。昔の女性の生理の回数は約50~100回でしたが、現代は約5倍の450回と多く経験することになりました。月経痛や月経前症候群のため、男性に比べ生涯で約6年もつらい期間があります。

調整し軽減する低用量ピルが2008年から保険診療で使えるようになっていますが、親世代は副作用の多い薬などと誤解することもあり、普及していません。子どもだけでなく、親も新しい知識が必要です。

妊娠前の男女の健康が、子どもの将来の健康にもつながることが分かってきています。鹿児島県もプレコンセプションケア推進事業を行っています。子どもの将来の健康を守っていきましょう。

 

こども医療ネットワーク会員

根路銘安仁(鹿児島大学医学部保健学科)