尿は腎臓で作られて、体に不要な物質や水分を排泄するとても大切な役割を担っています。今回は小児に見られる尿の異常を紹介します。
まずは尿量の異常です。尿量が減る代表的な状態は脱水症です。嘔吐下痢症に罹患した時など、何時間も尿が出ないと脱水症が疑われます。逆に尿が必要以上に出る病気として、頻度は多くありませんが、尿崩症や糖尿病といった病気があります。尿量が極端に多く、異常に水分を欲しがる場合は要注意です。尿の回数が増える病気としては膀胱炎や心因性があります。膀胱炎では排尿時に痛がったり、血尿が出たりすることがあります。
次に尿の色の異常です。一番多いのはやはり血尿です。普通の尿は麦わら色をしていますが、血尿があると赤色に変化します。原因としては膀胱炎・尿路結石・水腎症などがありますが、病気によっては褐色に近い色のこともあります。病気でなくても、水分摂取が不足して血尿にみえるような濃い尿が出ることがあるし、時には風邪薬に含まれる成分のせいで血尿に見える場合もあります。
最後に尿路感染症について紹介します。尿の通り道で病原体によって炎症が起きる病気です。細菌による尿路感染症では尿が混濁してみえることがありますが、尿が混濁しているからといって尿路感染症というわけではありません。尿路感染症を起こす背景に何か腎臓の病気が隠れている場合がありますので、尿路感染症に気づく事はとても大切です。
子どもの尿の異常から病気を見つけることが可能ですので、おかしいと感じたら近くの小児科医に相談しましょう。自律排尿が確立していない乳幼児でも、尿を採取するための特殊なバッグがありますので尿検査は可能です。
こども医療ネットワーク会員
稲葉泰洋(鹿児島大学病院小児診療センター)