野球にサッカー、バスケットボール、ラグビーなど、最近は世界で活躍する日本人のプロスポーツ選手も珍しくなくなってきました。そんな姿に憧れて「自分もあんな風になりたい」と運動を頑張っているお子さんもいるかと思います。可能性は無限大ですから、精一杯頑張ってほしいと思っています。
でも一方で、一生懸命にやっているのに、周りと比べて走ったりジャンプしたりすることが極端にできない、あるいは転びやすい、疲れやすい、といったことで悩んでしまっているお子さんや、また小さい頃から周りに比べて運動面の発達がゆっくりなお子さんもいます。そんな中に神経筋疾患という病気が隠れていることがあります。
あまり聞き慣れない病名かと思いますが、神経筋疾患とは脳や脊髄、末梢神経、筋肉などに異常が生じ、運動機能に影響を及ぼす病気のことを言います。いろいろな病気があるので一概には言えませんが、多くは少しずつ運動機能が失われていきます。それ以外にも呼吸や心臓の働きにも影響が出る場合もあります。
私たちの病院を受診されたお子さんのご家族の中には、「運動が苦手な子」と思って病院に相談したことは今までなかった、という声を時々聞くことがあります。診断に至ることで運動機能に関連する不安や心配を解消することができます。また、最近は医療の進歩によって治療ができる病気も増えつつあります。例えば、脊髄性筋萎縮症という病気では遺伝子に作用して元々作られないタンパク質を増やす薬ができています。最近ではデュシェンヌ型筋ジストロフィーの一部の患者さんへ遺伝子に作用し効果を発現する薬が出てきました。
気になる運動症状がある場合には、一度、かかりつけの小児科の先生にまずは相談されてみてはいかがでしょうか?
こども医療ネットワーク会員
丸山 慎介(鹿児島大学病院小児科)