こども救急箱

vol.322 新生児聴覚検査

―聞こえの異変、早期発見―

南日本新聞掲載日付 2024/02/23

先天的に難聴をもつ子どもは、千人に1~2人といわれ、他の先天性の病気に比べると高い頻度となっています。難聴に気づかずに放置してしまうと、言葉の発達や社会とのコミュニケーションに影響を及ぼすため、早期に難聴を発見し療育へとつなぐことがとても大切です。このため、鹿児島県でも2021年に「新生児聴覚検査に係る手引き書」を作成し、医療・療育・行政・教育の連携をとっています。

現在は、「1―3―6ルール」という方法を用いています。まず生後1[岡本 康裕1] か月までに産科などで「新生児聴覚スクリーニング」を行います。自動聴性脳幹反応検査によって新生児の左右の聞こえを評価します。22年度の県内スクリーニング受検率は98.5%でした。

片方でも「再検査が必要である」という結果が2回出ると、精密検査実施医療機関(鹿児島市立病院または鹿児島大学病院の耳鼻咽喉科)に生後3か月までに紹介されます。

精密検査の結果、最終的には約半数の方は「難聴がない」と判断されますが、難聴の存在が確定した際には生後6か月までに補聴器を使用する、というものです。しかし、生後1年以上経過しなければ難聴の有無が判明しないこともあります。

難聴の原因はさまざまで、遺伝子の変異によるものが最も多く、[YM2] 先天性サイトメガロウイルス感染症によるものもあります。後者は[YM3] 早期の抗ウイルス薬投与が有効であるとされ、小児科と連携して治療します。

生まれたときに異常がなくても、徐々に難聴が生じることもあります。お子さんの左右それぞれの耳をふさいでみたときや小さな音への反応がおかしいかな、と感じたら耳鼻咽喉科の受診を考えてみてください。

 

こども医療ネットワーク会員

山下 勝(鹿児島大学病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科)

vol.321 子宮頸がん

―子どものうちに予防を―

南日本新聞掲載日付 2024/01/26

日本人の2人に1人が生涯のうちにがんになりますが、実は子どものうちから予防できるがんがあります。それが子宮頸がんです。

2019年には日本で1万人を超える人が子宮頸がんを発症しました。20年の子宮頸がんによる死亡数は2887人でした。残念なことに00年以降、発症数も死亡数も増加しています。治療によって死を免れても多くの場合、子宮を取る手術が必要であり、妊娠・出産の機会を失ってしまいます。鹿児島県では毎年100人前後が子宮頸がんで亡くなっており、21年のデータによると人口あたりの死亡数は全国ワースト2位です。

子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルスに感染した後、発症します。ヒトパピローマウイルスは、性交渉によって感染するので、性交渉を行う年齢になるまでに、予防接種(HPVワクチン)によって予防することが大切です。

小学校6年から高校1年相当の女子は、予防接種法に基づく定期接種として公費によりHPVワクチンを接種することができます。公費助成の対象時期を逃すと、ワクチンの種類や接種を受ける病院によって幅がありますが、4万~10万円の実費が必要になります。接種勧奨が行われなかった世代(誕生日が1997年4月2日~2007年4月1日)には、キャッチアップの接種が無料で受けられる制度があります。

HPVワクチンによって子宮頸がんの患者および死亡者を40~70%程度減らすことができると考えられます。あなた、あなたの子どもが子宮頸がんを発症してから「子どものうちに予防できるがん」があるとは知らなかったということにならないように願います。かかりつけの小児科、内科、産婦人科などで相談し、ぜひ接種しましょう。

 

こども医療ネットワーク理事長

岡本康裕(鹿児島大学病院小児科)