こどもが「爪をかむ」、「皮膚をむしる」、「唇をかむ」などの行動を繰り返すことがあります。「様子をみていたがおさまる気配なく、傷もひどくなった」と相談を受けることもありました。
本人がやめようとしてもなかなかやめられないので、周囲の目につかないように隠れて行うこともあります。このような行動は、直前に緊張や不安があり、その行動を行うことで気持ちが和らぎ、解放感を得られるためにすることが多いようです。
自分を傷つける行動の中には、「毛を抜く」というのもあります。髪の毛のこともあれば、まつげやそれ以外の体毛のこともあります。爪をかむ行為に比べると目立ちにくいのですが、よく観察すると抜く動作に気づくことができます。
利き手ですることが多いので、利き手側に抜けた部分が多いです。行動自体をしかられてしまうと隠れてするようになったり、かえって行動が強くなったりすることもあります。
このような異常行動に気づいた時には「またしている!」と怒ったりせず、まずどんな時にしているのかをよく観察することが大切です。
本人は無意識にしていることもあるので、どんな時にその行動をしているかということを、自分でも気づかせるのも大事です。
こどもの感じていることや今日の出来事など話を聞いてあげて、きっかけになる場面を少なくするよう一緒に考えてあげましょう。
考えられる対応策として、抜毛する自分に気づいたら消しゴムを握るなど他の行動に置き換える行動療法や、専門家によるカウンセリングなどがあります。
有効性はさまざまですが、周囲の大人が「苦しんでいるんだね」と寄り添ってあげて、過ごしやすい環境を作ってあげることが基本になると思います。
こども医療ネットワーク会員
米衛ちひろ(鹿児島大学病院小児科)