こども救急箱

vol.291 ぜんそくと環境整備

―ダニ対応を重点的に―

南日本新聞掲載日付 2021/07/06

ぜんそくとは何らかの理由で「気道」という空気の通り道が長い期間にわたって炎症を起こし、そこに刺激が加わることにより突然気道が狭くなり、呼吸がしづらくなるという「発作」を起こす病気です。お子さんが急に「ゼーゼー」という呼吸をはじめて息苦しそうになり、病院に駆け込んだという方も少なくないのではないでしょうか。

発作のときは狭くなった気道を広げる治療を行うことで呼吸がしやすくなりますが、発作を繰り返していくうちに気道がさまざまな刺激に反応しやすくなり発作を起こしやすくなります。そこで発作を起こしたときの治療だけでなく、発作を予防することが重要とされています。基本的には飲み薬や吸入の薬など薬剤を使用しますが、環境整備といって生活環境を整えることも重要です。

生活環境の中で影響しているものに、タバコの煙、ダニ、ペットといったアレルゲン、大気汚染物質などがあります。主に室内ではダニへの対応が重要です。ダニのエサはほこり、カビ、アカ、食べこぼしなどで、エサの多い布団やじゅうたんなどに多く生息します。そのため掃除、洗濯が大事です。

床にはじゅうたんやカーペットはなるべく敷かないようにし、掃除機かけはできるだけ毎日行い、少なくとも3日に1回は1平方メートルあたり20秒以上の時間をかけてやりましょう。畳に布団を敷いて使用している場合はダニが畳と布団を移動するためどちらも注意が必要です。寝具は1週間に1回はシーツを外して寝具の両面に直接掃除機をかけましょう。防ダニ布団や防ダニカバーも有効です。

診察時に医師から助言や指導を受けても、いきなり多くの作業をこなすのは大変です。まずは治療をしっかり継続するとともに、掃除機をかける頻度を上げたりするなど、できることから一つずつ始めてみましょう。

 

こども医療ネットワーク会員

中﨑奈穗(鹿児島大学病院小児科)