春が近づくと、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどの症状に悩まされる方が増えてきます。いわゆる「花粉症」です。以前は大人に多い病気という印象がありましたが、近年は小さな子どもも発症する例がみられるようになりました。外来でも、保育園児や小学生が花粉症と診断されることは珍しくなく、花粉症の低年齢化を感じます。
花粉症は、植物の花粉に対して体の免疫が過剰に反応することで起こるアレルギー疾患です。春に多いスギやヒノキ花粉のほか、夏にはイネ科の花粉であるオオアワガエリ、秋にはブタクサやヨモギ、冬から春にかけて飛ぶハンノキ花粉など、原因となる植物はいくつもあります。中でも日本で最も多いのがスギ花粉症です。
主な症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみですが、子どもの場合は鼻づまりによって口呼吸になったり、睡眠の質が低下したりすることもあります。その結果、日中の集中力が落ちるなど、生活の質に影響することもあります。
スギ花粉症は年々増えているといわれており、今では多くの人が経験する身近な病気となっています。治療の基本は、抗アレルギー薬の内服や点鼻薬、点眼薬などによって症状を抑えることです。
最近は眠気などの副作用が少ない薬も増えており、日常生活への影響を抑えながら治療できるようになっています。花粉が多い日はマスクや眼鏡を使用し、帰宅後に衣服についた花粉を落とすなど、日常生活での対策も大切です。
スギ花粉症に対しては、「舌下免疫療法」という体質改善を目指す治療法もあります。原因となるアレルゲンを少量ずつ体に慣らし、数年かけてアレルギー反応を起こしにくい体質に導くことが期待されます。花粉の飛散していない時期に開始する必要があり、一般的にはゴールデンウイーク明け以降に治療を始めます。現在、保険適用されています。
花粉症は身近な病気ですが、適切な治療によって症状を軽くできます。悩んでいる場合は、医療機関で相談してください。
こども医療ネットワーク会員
井上博貴(井上小児科医院)
